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パッションフルーツの育て方 ~基本と作業~

2020年9月10日前後に、6月上旬に開花してなった実が、完熟して収穫(ネット内に落果)しました。
2020年9月12日撮影。追熟中。

今年は10個以上実が出来たのですが、例年に比べると色の付が悪いです。
追熟中にもう少し赤く変わると思いますが、スタートがかなり黄色いです。


何年も前に、農協の販売所で買って食べたパッションフルーツの味に感動し、その時食べた実から取った種から育て始めたパッションフルーツ。
毎年、時計の文字盤のような花を咲かせてくれます。
花の後は美味しい実をつけてくれます。
そんな、パッションフルーツの育て方についてまとめました。

【目次】
・パッションフルーツについて
・作業時期について
・開花、収穫(人工授粉、追熟について、食べ方について)
・置き場所、日当たり
・水やり
・植え替え、仕立て
・剪定
・増やし方
・肥料
・病気、害虫


●パッションフルーツについて
科名属名:トケイソウ科トケイソウ属
 別名 クダモノトケイソウ
 常緑つる性木質多年草
 葉の付け根や蕾には、甘い蜜で虫を呼び寄せるための蜜腺があります。


●作業時期について
月別作業(パッションフルーツ)
・開花:5~6月、9月
 収穫:7~8月、秋の開花は熟すのが間に合わないことが多い
・植え替え:4月
・肥料:4月(元肥)、追肥:5~9月


●開花、収穫
 開花は5~6月及び9月。温度が30℃を越えると花・実付が悪くなります。
 実をつけるには、人工受粉が必要です。(結実率が悪いので)
 収穫までは70~80日程。赤く色が変わり、完熟すると自然に落ちます。
 落下を防ぐため、色が変わりだしたら、実にネットなどをするとよいです。
※ネットをしておくと、下に落下してどこかに行くことが無いので、安心です。
 我が家では、ストッキング生地のネット(三角コーナーなどに使用するやつ)を利用しています。

蕾:大きさ1cm位
花芽(蕾)は、気温が30度を超えてくると、黄色く落ちやすくなります。
熱帯の植物のわりに、花芽は高温には弱いです。
このくらいのサイズ(写真くらいの姿)になると、比較的落ちづらくなります。

開花前日のつぼみ、全体長さ5cm、太さ2cm位
 付け根の小さい葉を除いて部分を測ると、3cmでした。


開花寸前のつぼみは、蕾の先端の緑に、白く隙間ができます。
※家での開花の目安です。
撮影日:7月3日
撮影日:7月3日 少し開いたところ
撮影日:6月20日、全開です。
開花はじめから、全開まではこちらのブログで。

・豆知識:パッションフルーツの花弁の数について
パッションフルーツの花には、10枚の花弁があるように見えますが、実際は5枚が花弁、残り5枚はがくです。
見分け方は、表も裏も白色の5枚が「花弁」、表は白く裏が緑色の5枚が「がく」です。


【人工受粉について】
 自家受粉では実が付きにくいため、人工受粉を行う必要があります。
 花は、朝8~9時ごろから咲き始めます。
 花が咲いたら、なるべく早く雄しべから花粉を採って、雌しべに受粉させます。
下の写真のように、雄しべを1~2つ花からとり、花粉のついた側を雌しべの先に押し当てて花粉を付けます。

 昼を過ぎると、受粉の成功率が下がります。

花に5個ついている雄蕊(おしべ)

雌蕊(めしべ)に花粉の側を押し当てて受粉させます

 受粉に成功すると、3日ほどで実の部分が膨らんでくるのが判ります。
 失敗すると、大きくならず、黄色くなって落ちます。
開花後、3日目(7月30日撮影)
開花後、7日目(8月3日撮影)
こちらは、6月に咲いた花についた実。↓
開花後:7日目、花の跡よりずっと大きい。
開花後1週間経った状態、最初は1日に0.5cmペースで大きくなっています。
※実の縦のサイズ


【追熟について】
パッションフルーツの実を収穫することが出来たら、室温で追熟すると酸味が和らぎ甘みが強くなります。
追熟を行わない場合は、酸味が強い味わいになります。
追熟は室温で行い、追熟する期間は、つるっとした表面にしわが出来始めるくらいまで行います。(7~10日間くらいでしわが出来始めます)

また、基本的に木で70~80日間完熟させる間に、実の色は赤くなり、フルーティーな香りになります。
しかし、場合によっては、日数は十分なのに、実の色が黄色いままで落果してしまうことがあります。そのようなときも追熟することで、実の色が赤くなり、香りも出てきます。


【食べ方について】
食べ頃になった実を、真横に切り、スプーンなどで中身を食べます。

種が気になる場合は、裏ごし器などで種を取り除いて、果汁(果肉)だけ取り出したピューレにします。

アイスクリームにかけてもよし、果汁の量がある場合は、ジュースやジャムなどにして楽しみます。



●置き場所、日当たり
 日当たりが良い、水はけの良い場所に植えます。
 日当たりが悪いと花が付きにくくなります。
 冬は、暖かい地方を除き、室内に出来れば取り込んだ方が良いです。
 ※品種により耐寒性が違います。比較的強いもので0~5℃くらい。
  黄色い花のものより、紫の花の方が耐寒性が強いと言われています。
  うちにあるのは、紫の花の方です。

●水やり
 水は、比較的多く必要とします。
 生育旺盛で葉からどんどん蒸発するので、生育期は土の表面が常に湿っている程度に。(水やりは夏は朝夕2回必要なことも)
 冬は根腐れを防ぐため、水は控え目にします。1~2週間に1回程度

●植え替え、仕立て
 時期は、4月ごろ霜の心配がなくなってから行います。
 冬越しをさせた苗はこの時期に植え付けます。
 土は水はけの良い土を使います。
 鉢植えでは、生育旺盛で根詰りしやすいので、2年に1回は植え替えるようにします。

・パッションフルーツはつる性植物の為、ネットに誘因、または行灯仕立てにします。


●剪定
 春先に、込み入った枝を切ります。
 花は、新しく伸びた枝につくので、収穫が終わったら一度伸びた枝を切り戻します。
 切る場所は、主幹(又は2つに枝分かれした所)から2節ぐらいの場所です。
 秋(9月頃)に新芽が伸びて、再び花が付きます。

●増やし方

 挿し木、または種から行います。

【挿し木からの場合】

 挿し木は、生育期はいつでも行えます。
 剪定などで切った元気な枝を使用します。
 先端を避けて2~3節ついた枝を、植え付け用の土に挿します。
 直射日光を避け、半日陰で管理します。
 2週間ほどで発根するので、乾燥に注意し、この間肥料はやりません。
 芽が伸び始めたら、小さな鉢に植え替えます。

「手 順」
1.挿し木に使う枝を準備します。先端はなるべく避けます。

2.切ったらすぐに水に差し、1~2時間ほど水揚げをします。

3.葉をピンクのラインで切り、半分の大きさにします。
 ※水の蒸発の抑制のため。

 葉を1/2くらいの大きさにしました。
  

4.葉を半分の大きさにした枝を用土にさします。
 上下を間違えないようにします。
 今回は、用土にバーミキュライトを使用しています。

5.乾燥しないように注意し、発根するまでは明るい日陰で管理します。

↓:2週間経ったものです。
  発根しているのが判ります。

6.さらに1~2週間で新芽が伸びてきます。
 この段階で、植木鉢に鉢上げします。
実際の手順は、下記の記事で詳しく書いています。
・関連記事:パッションフルーツの育て方 ~挿し枝を鉢に植え替えました~
 ※2019年8月19日記事

【種からの場合】
 種から行う場合、種についた果肉はよく洗い落とします。
 ※果肉には発芽を妨げる効果がある為。
 種蒔き用の用土に植え付けます。


●肥料
 生育期は肥料を切らさないようにします。
 株(苗)が大きくなるにれて、施肥する量を増やします。
 最初は、窒素の多い肥料を与えます。
 十分大きくなったらリン酸分の多い肥料に切り替えると、花付が良くなります。
 肥料が不足すると、折角ついた花芽が黄色く落ちる原因になります。

●病気、害虫

・害虫:アブラムシやアザミウマ
●アブラムシ:風通しが悪いと、発生することがあります。

●アザミウマ:5月の新芽が出てくる時期に発生することがあります。
 2、3ミリくらいの小さな細長い虫で、被害にあうと葉に傷や奇形が発生します。
 ひどいときは新芽が食害され、伸びる新芽が無くなることがあります。
 新芽や茎をウロウロしているのを見つけたら、オルトランなどで駆除しましょう。

 おまけ
 益虫として「クサカゲロウの幼虫」が来ることがあります。
 別名 生物農薬と言われる程、幼虫はアブラムシなどの害虫を食べてくれます。
 これが来ると、害虫の心配をしなくても良くなります。


・病気:過湿や風通しが悪いと、疫病や立枯病、パッションフルーツ円斑病になります。

●病気:パッションフルーツ円斑病


【症状について】
葉,枝および果実に発生する。オリーブ色~淡褐色の小斑点を生じ、拡大して2~10mmで淡褐色~灰白色の円斑~不整円斑となる。
症状が進行すると、葉では病斑の周囲が黄化・落葉する。枝では中心部が褐色、周囲が赤色の明瞭な紡錘形~長円形の病斑となる。果実では斑点が融合して大型不整斑となる場合もあるが、症状は表皮のみで内部まで進行することはない。
病斑部には小黒点(分生子殻)を形成する。


分生子果不完全菌類に属する菌が原因。
病原  :Septoria pastinacina Saccardo

病原異名:Septoria passiflaricola Punithalingam


うまく育てて、花と実を楽しみましょう。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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